今回は四日市市のお隣、三重郡菰野町で保護猫カフェを運営されている「またたび庵」の代表・坂倉雅子さんにお話を伺いました。
~ 保護猫かふぇ「またたび庵」9年の歩み ~
オープンまでの経緯
保護猫カフェを開いたきっかけ
iyコーギー:
本日はよろしくお願いします。まずは、保護猫カフェを始められたきっかけや経緯を教えていただけますか?
坂倉さん:
「またたび庵」をオープンして9年になりますが、まさか自分が動物愛護活動をするとは思っていませんでした。最初のきっかけは、姪に勧められて始めたFacebookです。
ある日、東京の駐車場で弱った猫を保護した方の「ジュルのしっぽ」という記事を見つけたんです。猫エイズの診断を受けたその子を懸命にケアしている様子や、動物愛護法の改正に向けて情報発信しているのを見て衝撃を受けました。「命をゴミのように扱うのはおかしい」って、声を上げる人たちがいることを知ったんです。
その後、鈴鹿の保護猫カフェ「和ん亭」さんを訪ねて、保健所に収容された子猫たちの過酷な現実を聞きました。飼い主のいない子猫たちは収容されると冷蔵庫に入れるそうです。冷蔵庫で体温を下げて、体温が下がると、子猫はあっという間に死んじゃうらしくて。それを聞いて涙が止まりませんでした。
犬を飼った経験があったので、赤ちゃん猫も世話できるかもしれないと思っていたら、その日のうちに乳飲み子が3匹やってきて――それが、私の保護活動の始まりです。

地域猫活動との出会いと学び
iyコーギー:
それは何年くらい前ですか?
坂倉さん:
15年ほど前ですね。その後、近所の高校生の女の子に「TNR(捕獲・不妊去勢・元の場所へ戻す)」を勧められて、初めて知りました。牛小屋に集まる猫たちを目の当たりにし、譲渡だけでは追いつかない現実を痛感しました。手術できない月齢の子猫は家で預かって人に慣らし、譲渡会に出す。でも猫はストレスで固まり、なかなか譲渡が決まらない。そんな経験を通して、「譲渡もTNRも、どちらも必要」と学んでいきました。

猫カフェという“基地”の必要性
坂倉さん:
猫がどんどん増えていき、活動の拠点が必要だと感じました。「だったら猫カフェをやろう!」と決め、今の物件を見つけて即決。
築17年とは思えない木の香りと美しさに惹かれました。改装は当時お隣にあった工務店さんにお願いして、壁をくり抜いたり扉を付けたり、猫仕様に仕上げました。

iyコーギー:
猫ちゃんは当時、何匹くらいだったのですか?
坂倉さん:
6、7匹でした。保健所の立入検査では「最大30匹まで」と言われましたが、実際は相性や環境もあり、多くて20匹くらいが限度。今は13匹が暮らしています。
特に子猫はワクチンや血液検査などの医療ケアを終えてからでないと、他の猫と一緒にできません。体調や感染症対策にはとても気を遣っています。
iyコーギー:
ちなみに、保護猫カフェを始められる前はどんなお仕事をされていたんですか?
坂倉さん:
結婚してからは病院で事務関係の仕事をしていました。結婚前は、実家が名古屋で料理屋をしていたので、手伝いながら自分でも飲食店を営んでいました。
iyコーギー:
なるほど、その頃のご経験も活かされているのでしょうね。
これまでの歩み
これまでの譲渡実績
iyコーギー:
今まで何匹ぐらいの猫ちゃん達が譲渡されましたか?
坂倉さん:
オープンから9年間で、約350匹を譲渡しました。最初の頃は年間60〜70匹でしたが、最近は40匹ほど。最近また譲渡が活発になってきました。


団体さんや個人の方からのお問い合わせも増えており、回転が良いことも「またたび庵」の強みです。
坂倉さん:
四日市の「ニャンコレスキュー愛の手」さん、鈴鹿の「ムック王国」さん、菰野の「Dep(ディップ)」さんとはお互いに連携し保護活動に努めています。
猫カフェ運営の苦労
iyコーギー:
最近でこそ猫カフェも増えてはきましたが、当時、保護猫カフェは珍しかったと思います。何かご苦労などはありましたか?
坂倉さん:
北勢エリアでは一番早い猫カフェだったかもしれません。
30匹の猫を一度に受け入れた時は、真菌や猫風邪の蔓延に大変苦労しました。猫同士の感染リスクはとても高く、毎日の投薬や1日おきに全員をシャンプーする日々もありました。
iyコーギー:
なるほど、ヒトも含め動物の感染症対策は大変ですね。
猫の受入と譲渡基準
iyコーギー:
またたび庵で受け入れる猫ちゃんの経緯と、譲渡の流れも教えて頂けないでしょうか?
坂倉さん:
来る猫は全て野良出身。ご飯をあげていたら産まれてしまった、という相談が多いですね。母猫の避妊手術を条件に、子猫は医療ケアを済ませた上で受け入れています。
譲渡条件は動物愛護団体さんより少し緩やかかもしれませんが、単身者や高齢者でも後見人がいればOKとしています。譲渡はトライアルから始まり、2週間様子を見ていただいて問題なければ正式譲渡になります。

iyコーギー:
トライアルで猫ちゃんが戻ってくる場合もありますか?
坂倉さん:
アレルギーや先住動物との相性などで断念されるケースもありますが、それ以外ではほとんどありません。

スタッフやボランティアの存在
iyコーギー:
オープン当初からスタッフを雇われていたんですか?
坂倉さん:
そうです。スタッフはみんな犬好き猫好きの知人や常連さんが中心で、メンバーの入れ替わりも殆どありません。掃除や管理、猫カルテの記録も全てスタッフが行ってくれています。

ブログやグッズ制作など、それぞれの得意分野を活かして支えてくれるボランティアさんもいて、本当にありがたい存在です。

今後について
事業譲渡
iyコーギー:
来年の10周年(2026年7月)からは新体制になると伺いましたが、、
坂倉さん:
2026年の10周年を迎えたら、私は一線を退く予定です。病気をしてから健康面に不安が出てきたこと、家族の介護もあることから、今後は菰野の保護団体「Dep」さんに運営を引き継いでもらう方向です。
iyコーギー:
そうなんですね。お店の名前は変わらないのですか?
坂倉さん:
「またたび庵」という名前は定着しているので使ってほしいとお願いしていますが、まだどうなるかは分かりません。今後も少しずつ関わりながらお手伝いできたらと思っています。

猫を迎えたい方へ
iyコーギー:
最後に、猫をこれから迎え入れたいと考えている方へ、何かお伝えしたいメッセージがありましたらお願いします。
坂倉さん:
「愛猫を亡くして悲しい思いをしたから失うのが辛くて、もう飼えない」とおっしゃる方がいらっしゃいます。でも、そういう方にこそ、また猫を迎え入れて頂きたいと思っています。きっとそういう方は猫を深く愛してくださる方で、猫もとても幸せだったはず。だからこそ、また次の子にも愛を注いでくださるに違いないと思うんです。とはいえ、無理をせず、猫と暮らすことでご自身も幸せになれることが大前提。そんな出会いを願っています。

支援物資・寄付
受付方法:またたび庵への支援物資の送付
- Amazon欲しいものリストから送付
取材を通じて、15年前のFacebookとの出会いから始まった坂倉さんの動物愛護活動。一匹一匹の猫と真摯に向き合い、350匹もの猫を新しい家族のもとへ送り出してきた「またたび庵」。来年の節目を機に新体制となりますが、その志は確実に次世代へと受け継がれていくことでしょう。
| 項 目 | 内 容 |
|---|---|
| 屋 号 | 保護猫かふぇ またたび庵 |
| 代表者 | 坂倉雅子 |
| 設立年 | 2016年 |
| 営業日 | 月・木・金・土・日 11:00~17:30(10~3月16:30) |
| 場 所 | 三重県三重郡菰野町菰野8475-75 【電車】近鉄湯の山線「湯の山温泉駅」から徒歩12分 【お車】四日市市内からアクアイグニス方面へ湯の山街道沿いに走り、 鈴鹿スカイライン(R477)沿いの曲がり道の途中あります。 高速道路でお越しの場合は「菰野IC」から約6分。 |
| 問合せ | 059-392-2828 |
