今回は四日市市久保田のペットクリニックオザワに勤務されている宮田知宏先生にお話を伺ってきました。
宮田 知宏(みやた ちひろ)先生
三重県桑名市出身。日本獣医生命科学大学卒業。
大学在学中に研究室の教授の知り合いだった小澤院長と出会い
ペットクリニックオザワに就職。就職後もクリニックがお休みの日は岐阜大学動物病院での
研修獣医をされた経歴もあり、日本獣医癌学会、日本獣医皮膚科学会などに所属。
獣医師になった理由・キッカケ
~愛犬の事件がキッカケ~
iyコーギー:
本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、
先生は獣医師になられた理由やキッカケって何かあったのでしょうか?
宮田先生:
僕は、進学するギリギリまでなりたいものがなくて、自分の将来が見えてなかったんです。ただ、子供の頃からずっと動物は飼ってて、家でビーグル犬を8頭飼ってたんですよ。
子供を産んだりして、もっと多かった時期もあるんですけど(笑)
iyコーギー:
普通のおうちでビーグル犬を8頭って凄いですね!ブリーダーさんみたい!
宮田先生:
そうなんですよ~ まあブリーダーではなかったんですが、両親がビーグル犬が大好きだったので、どんどん増えてしまって。
実家では洋ランの栽培もやってるんですが、その時にナメクジの除虫薬とか使ってたんですけど、その除虫薬をうちの子が食べちゃって、嘔吐や下痢が止まらなくなって死にかけた事が1度あったんです。
地元の動物病院に連れて行ったら「もう危ないかもしれない」って言われて、入院して治療しました。危篤状態だったんですが、なんとか回復して元気になったんですね。
その時「あ、こういう仕事もあるんだな」ってことに気づいて。
だから獣医っていう仕事にもあまり始めは、気づいてなかったんですけど、こうやって自分の好きな動物の命を救えるっていうのは、すごい良いことだなと思い、そこから獣医になりたいと思って大学を受験しました。高校三年生の終わり頃に、そういう事件が起きて、獣医さんってすごく良いな~って思って獣医師を選びました。
iyコーギー:
子どもの頃からずっとビーグル犬と一緒だったんですね!
ビーグル犬以外の動物の飼育経験などもありますか?
宮田先生:
僕は大学が東京だったんですが、大学の頃はハムスターを二頭飼っていました。
あんまりわけもわからないって感じの飼育だったんですけど
iyコーギー:
ハムスターもどんどん増えませんか??
宮田先生:
ハムスターも増えますね。でもオスが二頭だったんで大丈夫でした(笑)
今までの動物飼養経験・エピソード
~猫ちゃんの可愛さを知ってからメロメロです~
宮田先生:
大学を卒業してこっちで獣医になってからは猫ちゃんと暮らすようになりました。
今は猫ちゃんが四頭、居るんですけど、
その子たちは、諸事情により僕が世話する事になった子たちです。一頭目の子は腕の皮膚が事故でずる剥けになっちゃってて。治療してもなかなか皮膚が再生してこなくて、これは長期入院になるし、いつ治るか分からないなって感じだったので、お預かりする事になりました。すごく可愛かったんですよ。消毒して痛いことしても、じっと我慢してくれて、すごく性格も良くて。その時一頭も飼ってなかったんで、じゃあ僕らで責任持って飼って治療をしていきましょう!って言って、譲り受けたのが初めての子だったんです。
その後も成長期に骨の形成がうまくいかなかったのか胸部が凹んだままでうまく呼吸ができない猫ちゃんをおばあちゃんが保護されて診察に連れて来られて。
今後生活していく上でかなり大変だなと思ったので、その子も引き取ったり…。
iyコーギー:
じゃあ今、先生のおうちに居る子は、みんな事故にあった子や障害を持った子とかですか?
宮田先生:
そうですね。初めの子は皮膚がないだけだったので、今は再生して治って、健康な子と遜色ありません。
二頭目の子は体が三頭身くらいで、骨の形成がうまくいかず、呼吸が苦しそうだったので、始めは酸素室で飼ってたんですが、今は元気に走り回っています。
三頭目の子が一番かわいそうなんですけど、交通事故で前肢が折れてて。腎臓と尿管も損傷しておしっこも出せなくなってて、それを手術してなんとかおしっこが出る状態をキープして、今年で四年経ちました。
つい先週、危なかったんです。ご飯を食べなくて…。
でも点滴を毎日してたら、また復活してくれました。腎臓の数値がもの凄く悪いので、またいつ体調が変わるか分からないですが、今は一応元気に頑張っています。
iyコーギー:
先生のおうちにこられて猫ちゃん達はすごく幸せですね。
宮田先生:
だといいんですけどね(笑)
四頭目は最近、保護した子で。この子は一番やんちゃなんですよ。
この子は右の後ろ足がないんですよ。めっちゃヤンチャで、元々いる子にすごいかかって行くんですよ。
先端の足の部分が無くてもめっちゃ元気で、これで全然走り回ってるんですよ。
こういう子たちを事情で飼わせてもらってるって感じですかね。
iyコーギー:
みんな、とても幸せそう〜!
猫ちゃんと暮らすようになったのは、こちらのクリニックに勤めるようになられてからなんですね?
宮田先生:
そうですね。僕はもともと犬派というか、猫ちゃんを飼ったこともなかったし、猫ちゃんって冷たいとゆうか…犬は人のことすごい好きで寄ってくるけど、猫ちゃんは気分屋さんであんま懐かないってイメージがすごい強かったんで、大学の時も全然猫ちゃんを飼おうとは思わなかったんですけど、こっちに来てから猫の良さを知って…
もうメロメロですね(笑)
iyコーギー:
そうなんですね~! だから今は猫ちゃん四頭と暮らしてるんですね。
宮田先生:
そうですね。今は四頭。多分、もうこれ以上はちょっと難しいと思うんですけど(笑)
ペットクリニックオザワの特徴
~複数の獣医師が在籍し、その子に適した対応ができる~
iyコーギー:
ペットクリニックオザワの特徴や得意分野とか、こだわりがあれば教えて頂けないでしょうか?
宮田先生:
ペットクリニックオザワは動物病院としては規模が大きく、スタッフがたくさんいるから、二次病院と思われることが多いんですけど、基本的には一次診療施設として、地域密着型のプライマリ・ケア(身近で何でも相談できる総合的な医療)を重んじています。
内科も外科も皮膚科も心臓も…といった感じで幅広い分野の動物医療を提供できる体制を整えています。何かに特化するというわけではありませんが、様々な病気にもきちんと対応できるようにと思っています。
iyコーギー:
そうなんですね。
宮田先生:
僕がこの病院にいてすごく良いなと思うのは、個人病院だと、重症の子が来た時に、いろんな処置とか検査が必要な場合でも、他の患者さんを長時間、待たせてしまうことになるので、一件の診察に充分な治療が出来ない場合もあると思うんですね。
その子をずっと診察してて、次の子の治療時間が少なくなってしまったり、どうしても個人病院だと限界があると思うんですけど、うちは複数の獣医師が在籍しているので、例えば僕が重症の子を診ていて時間が掛かってしまったとしても、次の患者さんは他の先生が診ることが出来ます。
その子に必要な検査や処置ができるというのが、強みだと思います。
ペットクリニックオザワの特徴
~月イチ勉強会で情報共有し、幅広い分野に対応~
宮田先生:
あと、臨床十年以上の先生が4人います。ベテランの先生も多くて、月1回勉強会を行って情報の共有もしているので、幅広い分野に対応できます。
うちでも判らないこととか、CTやMRIなど高度医療機器を使った検査をしないといけないという時は、紹介状を書かせてもらって二次病院を紹介させていただくこともあります。
iyコーギー:
先生ごとに得意分野などもあるのですか?
宮田先生:
そうですね。
僕は最近、腫瘍に力を入れています。日本獣医癌学会と日本獣医皮膚科学会に入ってるので、その二つは得意とする分野です。
もともと大学では繁殖が専門で、交配とか人工授精とかもやっていたので、その辺も得意ですが、基本的にはブリーダーさんの仕事になりますので病院ではお受けしていません。
獣医師によって得意分野が異なりますので、月に一度の勉強会で情報を共有するようにしています。
iyコーギー:
そういう技術なども共有できるのがいいですね。
宮田先生:
たくさん先生がいると勉強熱心な先生もいるので、その先生が行った学会とか「どうだった?」って聞いて教えてもらうことができるし、獣医師がたくさんいるといいですね。
以前、この病院に勤務してから独立開業した先生がいるのですが、ひとりで診療していると周囲からの情報が入ってこないため、不安に感じることがあるようです。
医療って本当にどんどん変わっていってるので。
昔は不治の病と言われていた猫ちゃんのFIP(猫伝染性腹膜炎)も100%ではありませんが、今は治せるようになりました。
人間のコロナの薬が効く事が分かって。それを飲ませることで治るようになって、昔は99%死ぬって言われてた病気が今は治るようになってきました。
昔は良いって言われていたことが今はダメだったりとか、どんどん変わってきてるから、情報や技術をアップデートしていかないといけない部分はあるのかなと思います。
iyコーギー:
ちなみに勉強会は、どういうことをされるんですか?
宮田先生:
毎月一回、行っていて、一ヶ月間ですごく治療に悩んだ症例とかで相談しあったり。
二次病院さんに紹介した結果、こうだったよというのを共有する感じですかね。あと、僕は学会で新しく得た知識を共有したいので「今はこの病気に対してはこういうのが良いらしいよ。」というのを伝えたりしています。
iyコーギー:
素晴らしい取り組みですね。
動物病院の選び方
~動物病院選びは獣医師との相性も重要ですね~
iyコーギー:
現在は四日市にもたくさんの動物病院がありますが、宮田先生がお勧めする動物病院や病院の選び方などは何かありますか?
宮田先生:
その質問はとても難しいです(笑)相性とかも多分あると思うんですよね。
実際に行ってみないと分からない部分があると思うんですけど、個人的に思ってるのは・・・
やっぱり医療関係の人に聞くのが一番いいのかなって思います。
クチコミとかもね。ネットでいっぱいありますけど、あれもどうなんですかね?
iyコーギー:
ネットのクチコミって、あてになるような、ならないような~って感じですよね。
宮田先生:
そうですね。
うちでは、三重動物医療センターさん、岐阜大学動物病院さん、名古屋の日本動物高度医療センターさん。この三つの病院を信頼していて、難しい症例とか、二次の検査が必要な子は分散し送らせてもらっています。
病院選びは本当に難しいなと思って他の先生にも聞いてみたんですけど、一度行ってみて話を聞いて相性で選ぶのが一番良いのかなと思います。
ちゃんと飼い主さんの話を聞いてくれてしっかり動物を見て、触れて診察をしてくれる先生が良いですね。人のお医者さんでもよくあるじゃないですか。血液検査の数値とか検査の結果だけをみて患者さんを全く見ていなかったため、重要な徴候を見落としてしまったとか。動物の眼を見たり、体に触れたりしないと病気のサインを見落とすこともありますから、そこは大切だと思いますね。
現在、多くの病院が増えていますが、勉強熱心な若い先生も多くいらっしゃるので、四日市はなかなか良い環境だと思います。
iyコーギー:
宮田先生はどういった経緯でこの病院に来られたんですか?
宮田先生:
小澤院長は僕の大学の研究室の教授の知り合いだったんですよ。
院長も僕と同じ大学の卒業生なんです。たまたまなんですけど(笑)
で、たまたま僕の研究室に小澤院長が来た時に「人を募集しているけど一回見に来やんか?」と誘って頂いて。で、見に行ったら、ものすごい患者さんで、
「なんでこんなに患者さん来てんの?」っていうぐらい流行ってたんです。
たくさん患者さんが来る病院の方が勉強になると思ったのでペットクリニックオザワに就職する事に決めました。
一番初めに見学したのは東京の病院なんですけど、ずっとイスに座って待ってるんですよ。
なんならお茶とか飲んだりしてチャイムが鳴ったら、「あ、患者さんが来たから行くか~」みたいな感じで、その患者さんが帰るとまた座ってたりするんで「ああ、これじゃあ、あまり経験を積めないな~」っていう病院もありました。
一方、オザワは昔から患者さんがすごく多かったので勉強になるなと思ったのがきっかけなんです。
iyコーギー:
診察中は、どの先生も座られてる姿ってほぼ見たことないです。
ここは本当にみなさん忙しそうに動いてますよね。
宮田先生:
そうですね。顕微鏡を見る時ぐらいは座りますけど、そのぐらいですよね(笑)
仕事のやりがい
~元気になって帰られる姿をみるのが一番嬉しい~
iyコーギー:
最後に何かあればお聞かせください。
宮田先生:
この仕事してると、つらいこともあるし、お力になれなくて、悲しい思いをすることもあるけど、重症だった子がすごく元気になって、すごい喜んで尻尾を振って帰って行くときとか、猫さんとかもゴロゴロと喉を鳴らして帰って行くところを見るとそれが本当に生きがいというか。一番嬉しいことだと思います。
iyコーギー:
本日はありがとうございました。
たくさんのお話が伺えてとても楽しかったです。
宮田先生:
こちらこそありがとうございました。