今回は桑名を拠点に三重県北部〜名古屋でキャットシッターをされている”ねこのて”の諸戸慶子さんに四日市市内のカフェお話を伺いました。
諸戸 慶子( もろと けいこ)さん
三重県桑名市生まれ。飲食、介護福祉業を経験した後、2013年3月に猫の森キャットシッター育成講座(※猫の森株式会社:日本初のキャットシッター南里秀子氏が代表を務める会社)を卒業。同年4月に桑名市で「キャットシッター『ねこのて』」を開業。猫専門のペットシッターとしては三重県で第一号。桑名、四日市など三重県北部と名古屋市内で活動中。
4歳の愛猫との別れがきっかけ
iyコーギー:
いろいろなお仕事の経験や資格をお持ちですね。
諸戸さん:
はい。人の笑顔を見るのが好きで、調理師の資格を取ってからは色々な飲食店で働いてきました。お爺ちゃんやお婆ちゃんも大好きで、その後は老人福祉施設でも仕事をしてきました。
iyコーギー:
ペットシッターを始めようと思ったきっかけなどはありますか?
諸戸さん:
子どもの頃からたくさんの猫と暮らしてきました。どの猫も割と長生きしてくれましたが、一匹だけ4歳のときに病気で亡くなった子(サスケ君↓)が居てその体験がきっかけとなっています。
iyコーギー:
4歳ってまだ若いですよね!?
諸戸さん:
そうなんですよ。腎不全が原因で気づいた時はもう手遅れでした。「どうしてもっと早く気づいてあげられなかったんだろう。。」ってすっごく後悔して。「もう私は猫を飼う資格がないヒトだって」凄く思い詰めちゃって。それ以来、猫はもうこれ以上飼わないって決めていました。
iyコーギー:
そんな辛い経験があったんですね。
諸戸さん:
それから暫く経って、友人との何気ない会話の中「キャットシッターって仕事があるの知ってる?猫の勉強ができる学校があるんだって」という話を聞き、当時の想いが蘇ってきました。
「最近猫が少し痩せた気もするね」って家族とも話しをしていました。でも元気そうにしていたので病院に行くはのまだいいかなって。元々トイレにあまり行かない子だったけど、多頭飼いで中々気づいてあげることも出来ず。
「猫のことをもっと勉強して猫の体調や異変に早く気づいてあげられるようになりたい。私がシッターになることで、見落としがちな猫の体調の異変などを飼い主さんに教えてあげられたら、少しでも助けられる命があるかもしれない。」そんな想いに駆り立てられ、シッターの講座に申し込みました。
iyコーギー:
そうでしたか。私もコーギーを亡くしてからもっと勉強しなきゃって思って通信講座を受けたりもしました。凄く簡単な講座でしたが(笑)。
猫のお世話は勿論、報告や気づきの大切さを学びました。
iyコーギー:
シッターの勉強はどんな風にされましたか?
諸戸さん:
日本で初めてのキャットシッター南里秀子さんが主宰する「キャットシッター育成講座」を受講しました。
iyコーギー:
私も南里さんの講座は幾つか受けましたが、キャットシッターの講座までは手が出ませんでした。内容も別格って感じがしてますが、如何でしたか?
諸戸さん:
とても大変でした(笑)。実際に南里さんのシッティング現場も同行させて頂きましたが、指導はそれだけでは無かったです。猫とはあまり関係ないような課題もありました。その時はあまりよく分からなかったこともありますが、時間が経つにつれ、あの時のあれがこれに役立っているんだなぁ〜。とか、実際に現場でお仕事をするようになってその意味が分かるようになっていきました。
iyコーギー:
興味深いご指導ですね。
諸戸さん:
シッターとしての報告やレポートの練習。そして、ただお世話をするのではなく、飼い主さんが普段気づけていないことにも目を向けてアドバイスが出来るようになるのが大切だということを身を持って教えて頂きました。
iyコーギー:
スゴイですね。普通の講座では受けられないような内容ですね。
諸戸さん:
ある話を教材にティッシュをテーブルの真ん中に置いて皆で大号泣する授業もありました。ペットを亡くした経験のある人は多いと思いますが、亡くしたヒトの気持ちが分かるように、猫への接し方だけでなく、お客様への接し方、どういう対応をすべきか教えられました。ヒトとしても大きく成長させて頂いたと思います。
感染症対策にもかなり気を配るようにしています。
iyコーギー:
シッターの報告などはどのようにされていますか?
諸戸さん:
LINEやメールに写真を添付し報告しています。こんな感じ(実際の報告の画面を拝見)です。入出時、食事、トイレの状況をご報告しています。頭数が多い場合はトイレとか、猫ちゃん毎に報告するのが難しい場合もありますが、大体こんな感じでしていますよ。
iyコーギー:
うわぁ〜これスゴイですね?手袋もされているのですね!
諸戸さん:
はい。感染症の対策も気を配っています。手袋、足カバー、マスクを二重にし、入出前には全身にアルコールを浴びるようにしています。
iyコーギー:
徹底されていますね。
諸戸さん:
私も猫を飼っていますし、1日に何件もシッターの仕事が入っている場合、他のお客さんのところで猫ちゃんに病気をうつすのも怖いですしね。よく外に猫を逃がしてしまうお客様がいましたが注意してもなかなか、止めてもらえずシッターをお断りさせて頂いたこともありました。ノミやダニ、感染症のリスクなども非常に高いので。
iyコーギー:
諸戸さんが媒介になっては困りますもんね。。
ヨダレを垂らしちゃう子もいます!?
iyコーギー:
シッター先で他に困ったご経験など何かありますか?
諸戸さん:
1回だけですが流血事件がありました。突然ふくらはぎを噛まれたことがあって。。でもお世話もあと数日あったのでなんとか防御しながらやりきりました(笑)。
あと困ったというわけでもありませんが、私がシッターに行くとヨダレをボタボタ垂らしちゃう猫ちゃんがいました。理由はよく全く分かりませんがご飯をあげているわけでもないのにボタボタと。飼い主さんにも報告したのですが「今まで一回も見たことない!どうしたらヨダレ出させられるんですか!?」ってかなりジェラシーを感じられていました。。。
iyコーギー:
そんなことってあるんですね!スゴイ。
諸戸さん:
普段は人見知りの猫ちゃんでもよく出てきてくれることが多いです。
iyコーギー:
うちの猫ちゃんもかなりの人見知りです。友達が来てもいつも冷蔵庫の隙間に隠れちゃって。一度、諸戸さんに来ていただきたいですね!直るかな?
諸戸さん:
もちろん絶対にとはお約束出来ませんが、出て来てくれる子が多いですね。また機会があればお声掛けください。
高齢者の見守りやお食事準備のオプションもあります
iyコーギー:
ねこのてのWebサイトを拝見しましたが非常にユニークなサービスも提供されていますね。
諸戸さん:
前職が調理師だったこともあり、お客さんがお帰りになられる前に食事の準備をするのもオプションであります。猫のお世話と合わせてお年寄りの話し相手になってあげたりとかも依頼があれば喜んで対応しています。施設に勤めていたこともあり、お年寄りの方とお話するのは好きですね。
iyコーギー:
凄いですね。そんなこともされているのですね。
諸戸さん:
あと終活アドバイザーの資格も持っていて、時々ご依頼がありますね。私自身、父を亡くした経験から非常に必要性を感じました。
iyコーギー:
誰もが直面することですものね。
今日は本当にたくさんのことを聞かせて頂きありがとうございました。
諸戸さん:
こちらこそ、このような機会を頂き有難うございました。
~ 編集後記 ~
話題も豊富でとても話しやすいシッターさんという印象でした。猫に対してもお客さんに対してもプロとして真摯に向き合い取り込まれている様子はお話を少しお伺いするだけでも強く感じ取れました。猫に好かれる天性の才能は羨ましい限りです。
猫やその環境に対する諸戸さんの”気づき”から沢山の猫ちゃんと家族の方がより幸せになっていけば素敵だなと感じました。ご自身の普段のお世話が適切だったのか少しご心配な方、更に新境地を開拓してみたいという方は、帰省やご旅行などを機会に諸戸さんにご依頼してみては如何でしょうか。