今回は鈴鹿を拠点に三重県北勢域でペットシッターをされている“FARO”の桜井むつみさんにガト・アコルデのモデルルームにお越し頂きお話を伺いました。
桜井 むつみ(さくらい むつみ)さん
三重県伊勢市生まれ。2015年に動物愛護団体「ムック王国」を立ち上げ、その後、一般社団法人 動物福祉「ムック王国」の代表理事としてT.N.R活動や行き場を失った動物の里親探しなど700頭以上の動物のお世話をする。
2015年2月に愛玩動物飼養管理士を取得後、ドッグトレーナーさんの所で3年以上修行を積み2020年5月「ペットシッターFARO(ファロ)」を開業。鈴鹿市を中心に北中部地域で活動中。
譲渡先の里親さん方からの熱いご要望がきっかけ
iyコーギー：
ペットシッターを始めたきっかけを教えてください。
桜井さん：
動物愛護のボランティア活動をしていますので、そこでお世話をさせて頂いた里親さん方から「留守中の動物のお世話を頼みたい」とのお声をたくさん頂くようになり始めました。
iyコーギー：
お客様は動物を譲渡した里親さんが多いですか？
桜井さん：
そうですね。ペットシッターの宣伝などをしていませんので、譲渡先の里親さんが殆どですね。
自分たちがお世話をして譲渡させてもらった子たちに会いに行けるのは「また会える」とゆう喜びもあります。
iyコーギー：
自分たちがお世話をした子のおうちに伺えるのは、その子の成長も見られて嬉しいですね。
桜井さんは愛護団体『ムック王国』の代表をされながら、生まれたての子猫のミルクボランティアもされて、ペットシッターもされて…
毎日とてもお忙しそうですね！
顔を見ただけで病気の気配が察知できるんです
桜井さん：
そうかもしれませんね(笑)
でも、愛護団体のボランティア活動の経験がとても役に立っています。
例えば動物の表情を見た時に「あ、この子、この前より元気がない」とか、顔を見ただけで病気の気配を察知できるんです。
今まで700頭くらいの動物のお世話をしてきたので病気の子の表情とか、なんとなく分かるようになりました。
iyコーギー：
動物の表情で病気の気配を察知できるなんてスゴイですね！
桜井さん：
以前、飼い主さんが入院の為、朝と夕方の1日2回、1ヶ月間お世話したおうちで猫ちゃんの元気のない表情に気付いたことがありました。
そのおうちは多頭飼いをされていたので、既にしてあるオシッコやウンチは誰がしたのか判断が出来ない為、飼い主さんに了承をもらって、1晩泊まる覚悟で元気がない猫ちゃんがトイレに行くまでずーっと待ちました。
そして深夜2時、遂にその子がトイレに行ったんです！
でもオシッコのポーズはしたのですがオシッコが出てなくて…
【尿毒症】かもしれない！と思いました。
尿毒症は3日オシッコが出なかったら死んでしまうのですが、今日が何日目なのかわからない為、飼い主さんに急いで連絡をして猫ちゃんを病院へ連れて行きました。
やはり猫ちゃんは尿毒症で、お腹にオシッコがパンパンに詰まっていたため出してもらいました。
飼い主さんにも「桜井さんにお世話をお願いして良かった！私だったら気付かず死なせてしまっていたかもしれない」と、すごく感謝されました。
iyコーギー：
猫ちゃんがトイレに行くまで何時間も…
そこまでやって下さるシッターさんて、なかなかいらっしゃいませんよね？
桜井さん：
どうしても放っておけないんですよ（笑）
オシッコの出ない子を「出るまで見届けたい！」と思い飼い主さんの許可をもらって、ソファーで静かに座って「あの子はいつトイレに行くんだろう」って、何時間も。
ただただ観察していました（笑）
で、翌日「○時まで居ました」と報告したら「よく、そんなに居てくれたね！！」って（笑）
でも、大切な子のお世話を任せられた以上、もし何か起きてしまっては辛いですし、、、
責任感ですね。「この子が元気になって欲しい！」って。
iyコーギー：
猫ちゃんは、桜井さんのおかげで助かったんですね！
多頭飼いしている飼い主さんだと発見が遅れてしまったり、気付けないこともありますよね。
桜井さん：
そうなんです。
多頭飼いのお宅では、誰か具合が悪くてご飯を食べてなくても、他の子が食べてしまうので分からないんです。なので、ご飯とトイレのお世話をして直ぐに帰ってしまうのではなく、猫ちゃんの様子も観察したり顔色や表情をなんとなく観ています。
他にも、大量に水を飲む猫ちゃんがいて、飼い主さんは「この子は元々たくさんお水を飲む子なんです」と仰るんですが、やっぱりおかしい。。。
猫ちゃんに与えているお菓子も塩分が多めだったので、飼い主さんの了承を得てお世話中は量を少なくしたりしました。
飼い主さんは全く病気を疑っていませんでしたが、『一度、検査を受けてみては…？』と何度もお伝えしていたら、検査を受けられて結果【糖尿病】で。
「全然気付かなかった。桜井さんに教えてもらって良かった！」と言っていただいた事もありました。
iyコーギー：
ボランティア活動で沢山の動物のお世話をしている経験がシッターの現場でも、とても生かされているんですね！
桜井さん：
今までの経験から色んな事を無意識にチェックしてますね。
例えばあそこに置いてあるヒモは大丈夫かな？とか誤飲しそうなモノが置いてないか？とか。
iyコーギー：
無意識にチェックしてしまうって凄いですね！
桜井さん：
数日間お世話したおうちで、昨日お世話しに来た時は無かった人間のお薬（錠剤）の殻のパッケージをキャットタワーの上に発見したことがあって、「昨日までは何処にも無かったお薬…何処から持ってきたの？吞み込んでしまったの？？」ってとても焦ったことがありました。その時はお薬の裏に表示されてる名前からどんなお薬で、猫ちゃんが飲んでしまったら、どんな症状が出るのか？色々と調べました。猫ちゃんの様子やウンチもずっとチェックしてましたが、異常はなかったので、飼い主さんが飲まれた薬のパッケージをどこかから持ってきただけだったみたいでホッとしました。
多頭崩壊の現場に伺うことも
桜井さん：
ペットシッターとは違いますが【多頭崩壊】の現場に伺うこともあって、1軒のおうちに猫ちゃんが20匹、30匹といる所へ入る事もありますが、何回か見に行くうちに見分けがつくようになり、黒猫ちゃんがたくさん居ても「あの黒ちゃんは前に風邪をひいてた子だな」とか「この子はお薬を飲んでた子だな」とか区別がつけられます。
iyコーギー：
凄いッ！！ベテランですね！！
桜井さん：
職業病ですね（笑）
iyコーギー：
シッターをする時に注意している事や心掛けている事などはありますか？
動物さんから安心される存在になれるように
桜井さん：
動物さんから安心される存在になれるように仲良くなってもらう努力をしてます。
お打合せに伺った時、動物さんたちも私の事を観察したり、ニオイを嗅ぎに来たりしてくれるのですが、多分、私に犬や猫のニオイがついているんでしょうね。わりとどのおうちの子も抵抗なく寄ってきてくれます。
iyコーギー：
隠れちゃう子とかはいませんか？
我が家の子たちはお客さんが来ると一斉にいなくなっちゃうんです。
桜井さん：
私がお伺いするおうちも
「普段はお客さんが来ても寄って来ない子なのに桜井さんの所には行くね～」って飼い主さんに安心していただけます。
動物さんたちにも初回は特に時間をかけて「怪しくないよ」とゆうのを分かってもらえるようにしています。
iyコーギー：
お客様への報告などはどのようにされていますか？
桜井さん：
今はLINEをしている飼い主さんが多いのでLINEで「今こんな様子ですよ」と写真や動画を送ったりする事が殆どですね。後はご飯の食べ残しやオシッコ、ウンチも全部、写真に撮りますので、それを日記みたいにメモに残したりしておくと、飼い主さんが帰宅後に見て「すごく丁寧に書いてくださってありがとう」と喜んでもらってます。
iyコーギー：
本当に色々なご経験をされていて、ご依頼する飼い主さんも安心できますね！
収益は保護活動の支援にも繋がります
桜井さん：
安心してご依頼いただければと思います。
ペットシッターは収益事業になっていますが、収益は非営利活動の保護シェルターの運営費にしたいと思ってやっているので、ご依頼を頂いたシッター代金は家族のいない子たちの支援にも繋がっています。
iyコーギー：
じゃあ、桜井さんにペットシッターを依頼すると、動物さんたちの保護活動の支援にも繋がるんですね！！
保護っ子だった子がうちの子になりました
iyコーギー：
桜井さんのご自宅には猫ちゃんはいますか？
桜井さん：
はい。でも元々は保護っ子だったので里親さんを募集する予定だったんですが、オチンチンが奇形でオシッコが出なくて、その子も尿毒症になって死にかけてたんです。
だから手術やら何やらお金がかかりそうな子だったので、うちの子になったんです。
今はすっかり元気になりました。
iyコーギー：
うわぁ～可愛い！！毛並みもキレイですね～ 茶トラくんですね！お名前は？
桜井さん：
「コビー」です。
旦那がつけたんですがアニメのワンピースに出てくるキャラクターの名前で、初めは弱かった子がだんだん強くなっていくんです。この子も初めは死にかけたり小さい時は弱かったので強くなるように、この名前を付けました。
iyコーギー：
「コビーくん」
カッコイイお名前ですね！
桜井さん：
お義母さんはなぜか「コビンくん」と呼ぶんです（笑）
いつもこんな感じのミルク子猫を育てさせて頂いて里親様に託しているのですが、
コビーは新入りが来ては、巣立っていくのを見守るお兄ちゃんなんです。
iyコーギー：
コビーくんは頼もしいお兄ちゃんですね！
今日はとても沢山いろいろなお話が伺えて私も勉強になりました。楽しかったです。
ありがとうございました。
桜井さん：
こちらこそ、ありがとうございました。
～ 編集後記 ～
動物愛護のボランティア団体「ムック王国」の代表として、T.N.R活動や保健所からの動物の引き出し、
更には生まれたての猫の赤ちゃんのミルクボランティアなど様々な経験をされている桜井さんのお話は
キャットシッターを始めた私にもとても参考になる興味深いお話ばかりでした。
動物の様子や表情を観ながらその子の為を思って動ける。責任感が強く、経験豊富なシッターさんなので安心してお世話が頼めます。ドッグトレーナーの資格もあり、わんちゃんの躾も教えて頂けます。シッターのご依頼が保護活動の支援にも繋がるのも嬉しいですね。普段のお世話が適切だったのか少しご心配な方、動物さんのお困りごと等、ご相談してみたい方は桜井さんにご依頼してみては如何でしょうか。